笑うタヌには福きたる

白血病でも毎日笑って暮らす、3児の母ちゃんの日常を綴ります。

【造血幹細胞採取】命のバトンを渡す覚悟はありますか?

こんにちは。

 

弟の三回目の命日が過ぎ、いろいろな想いを馳せているタヌ子です。

 

時間薬とはよく言いますが、我が子を亡くした実母の心の傷が癒える事はありません。

 

命日が近づくといつも情緒不安定になる実母。

 

なるべく一緒に過ごす時間を増やしています。

 

今頃、弟は天国で何をやっているのかな?

 

そんな弟に提供した、私の造血幹細胞。

 

その採取体験談を、今日は書いていこうと思います。

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※あくまで個人の体験記ですので、実際と異なる場合があります。ご了承ください。

 

 

そもそも、白血病の移植ってどんなもの?

 

難治性の白血病に対して行われる最後の砦にして最強の治療

 

それが造血幹細胞移植。

 

 

分かりやすく説明するために、よく工場で例えられます。

 

白血球赤血球血小板などの正常な血液細胞を生産する工場(骨髄で活動している造血幹細胞)が、

 

白血病細胞(がん細胞)という不良品を次々作り出すようになってしまったため、既存の造血工場を破壊し、移植によって新しい造血工場に入れ替え、新しい生産物(正常な血液細胞)を体内に流通させる、というわけです。

 

自分の造血細胞を破壊するんですよ。聞いただけで身震いするほど恐ろしいと当時思いました。(いや今もか)

 

 

移植治療は、大きく分けて3種類あります。

 

骨髄移植

 

一番多く知られている方法なんじゃないかなと思います。

ドナーに全身麻酔を施し、骨髄にある造血幹細胞を採取します。腸骨という骨盤の骨から骨髄液を採取します。

通常、3泊4日ほどの入院をして行わます。

 

臍帯血移植

 

胎児と母親を結ぶ臍帯と胎盤に含まれる胎児由来の血液(臍帯血)に造血幹細胞が豊富に含まれています。

 

臍帯血の提供に同意した妊産婦がドナーとなり、分娩後に臍帯血を採取し、臍帯血中に含まれる造血幹細胞を移植する方法。

 

私は末っ子を分娩中に弟が白血病で入院したので、実母が「アンタの臍帯血とっておいて!」と電話がかかってきました(^_^;)

当たり前ですが、無理な話です。そもそも実施していない産院でした。

 

 

抹消血幹細胞移植

 

私が受けた採取方法がこれです。

血液中にある造血幹細胞を採取して移植する方法です。

 

通常、造血幹細胞は血液中にはいないので、白血球を増やす薬剤であるG-CSF(顆粒球コロニー刺激因子)を投与し、骨髄から血液中に溢れ出した造血幹細胞を「血球成分分離装置」を使用して採取します。

 

通常は、6泊7日ほどの入院。通院の場合は、採取時だけ1泊2日で実施することが多いらしい。

(私は採取まで全て通院で行いました)

 

実施施設によって方法が異なるようです。

 

詳しくはこちら▼

ganjoho.jp

 

 

ドナー検査から採取までの流れ 

 

弟本人から、「ねえちゃんにドナーを頼む」と言われた後、主治医から私に改めて電話がありました。

 

ドナーになることへの意思確認と、術前検査についての連絡です。

 

残念ながら当時の資料は残っていないのですが、

 

弟とのLINEのトーク記録が残っていたので、そこから当時のスケジュールも併せてご紹介します。

 

2016年1月22日(金) 

主治医から意思確認の電話。

同時にこの日から断乳決行。

 

2016年1月28日(木) 

半日かけてドナー適性検査。

身長、体重、血圧、血液検査、尿検査、心電図、胸部レントゲン、腹部超音波検査、肺機能検査(肺活量)、問診など。この時、乳児を抱えている為通院で実施できないか確認→特例として了承。ただし、副作用が強い場合と、採取当日は誰かに送迎してもらうことが条件。

 

2016年1月30日~2月2日まで

通院にてG-CSFを皮下注射、血液検査。(毎日!)

 

2016年2月3日(水)

抹消血幹細胞採取当日。

(採取直前にもG-CSFを2本打たれる)

 

大まかに書くと、こんな流れのスケジュールでした。

 

 

まじで痛い!白血球を増やす薬「G-CSF」注射

 

 まずは私の血液中に、白血球を大量に増やさなければいけません。

そのためにはG-CSFという薬を皮下注射をするのですが…

 

これが…痛い!

猛烈に痛い!!

このG-CSF白血病になってからも治療として打つ事が多いのですが、

 

本当に憂鬱になるほど痛いのです。

 

例えるなら…インフルエンザ予防接種の3倍くらいかな?

感じ方は人それぞれだと思いますが…

 

それを両腕に一本ずつ打たれるのです!

入院だと朝晩一本ずつらしいのですが、私は外来だったので一気に二本でした(^_^;)

 

ゆっくり注入すれば痛みが和らぐと知ってからは、「看護師さん!!カタツムリの歩くスピードでお願いします!」と毎回お願いするほど。

 

それでも忙しい看護師さんはギューン!って打つもんですから、

 

(;°;ω;°;)!!←こんな顔して毎回悶えてましたね。

もちろんゆっくり打ってくれる看護師さんもいらっしゃって、まじで天使だと思いました。笑

 

ちなみに、私の兄は「そこまで痛いか?」と余裕の表情でした。採取経験3回のツワモノともなると、慣れるのでしょうか(^_^;)

 

そんな痛い注射を打たれた後は、もれなく血液検査も待っています。

 

白血球がどのくらい増えたかを確認するためです。

 

増えすぎてもよくないのか、一本しか打たない日もありました。

 

当時のグループLINEがこちら

G-CSF注射2日目

初日のLINEはありませんでした。

G-CSFを商品名でもある「グラン」と呼んでいました。

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上記の通り、G-CSFを打つと白血球が異常な数値に増えることが分かりますね。

※通常の白血球数は4000~9000個です。

 

また、G-CSFを打つと副作用が出ることがあります。

一番辛いと聞くのは腰骨の痛み。血液を造る骨髄から大量の白血球が溢れ出してくるので、陣痛のような鈍い鈍痛が起こる事があります。

 

 

G-CSF注射3日目

 

初回の注射程は白血球が増えていなかったようです。

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↑平気そうなLINEしてますが、実は腰がめちゃくちゃ痛くて家に帰ってから寝込んでました。

 

体調も熱っぽく、家事もままならない感じ。弟に心配をかけたくなくて、強がっていた様子が伺えますね(^_^;)

 

鎮痛剤もバリバリ飲んでました。笑

 

まあ、本来なら入院するべき処置なのに通院だったので仕方ないのですが…

 

 

G-CSF注射4日目

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4日目は主治医の診察もあったようですね。

 

そして、この翌日がついに採取当日です。

 

 

造血幹細胞採取当日

 

許可をとり、スマホでその様子を撮影し、グループLINEで実況中継していました。 

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透析の患者さんに混ざって採取が行われました。

 

いつ異変が起きてもいいように、主治医や技師さん、看護師さんが常に近くで待機している感じ。

 

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通常は、脱血と返血を片腕ずつに処置するそうです。

そうなると、身体はおろか両腕も動かせなくなり、3時間~4時間ほどかかる採取はなかなか辛いものになります(^_^;)

 

とりあえず、終わった後はケツが痛かった…

 

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和気あいあいと採取の情報共有。

内心はドキドキでしたよ。全身の血液を何度も入れ替える経験なんて初めてでしたから(^_^;)

 

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採取時の副作用として、カルシウムが足りなくなり痺れが出ましたが、それを補う点滴も同時にしてくれています。

 

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「濃いね!」

…弟よ。褒めてるのかい?笑

 

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3時間半ほどで無事に終了。

 

このあと、細胞数のカウントで1時間ほど待たされました。

その間に主治医の診察があり、細胞数も十分に足りていました。

 

終わった直後はフラフラ、重度の貧血のような感じ。実母に迎えに来てもらい、家で即効寝ました。

 

すぐに移植する予定でしたが弟に肺炎が見つかり、移植は延期になってしまい…。

 

私の造血幹細胞は冷凍保存され、肺炎が良くなった3月頃、弟の身体に移植されたというわけです。 

 

一週間後、一ヵ月後に主治医の診察があった

 

ドナーの健康に異常がないか、血液検査と主治医の問診がありました。

 

この時は特に異常はみられませんでした。

 

まさかこの一年後、白血病になるなんてね…誰も予想していなかったです(^_^;)

 

 

最後に…ドナーを体験して思ったこと。

 

f:id:tanucomama:20191217143806j:plain※実際の採取中の写真

 

私は血縁間のドナーだったので、自分の意思というよりは、周りに流されてやむを得ずドナーになりました。

 

tanuco.hatenablog.com

 

 

どの病気のドナーさんにも言えることですが、

 

誰かのために自分の身体を少なからず犠牲にして提供するということは、本当に尊くて素晴らしい事だと思います。

 

 

私がインスタで白血病を公表した際に、

献血に行こうと思った

■ヘルプマークを初めて知った

■ドナー登録を考えていたから、登録する決心がついた

■移植すれば治ると思っていた

など、さまざまなダイレクトメッセージをフォロワーさんからいただきました。

 

その中で、ドナー登録について考えてくださったフォロワーさんが何名かいらっしゃって。

 

考えるきっかけになったことは嬉しいのですが、今一度立ち止まってよく検討していただきたいと思います。

 

水泳の池江璃花子選手が白血病を公表されてから、世間的に白血病に対する認知が爆発的に広まり、骨髄バンクの登録者数が急増しました。

 

ですが、実際ドナーに選ばれた際に提供を断る登録者が増えた事も悲しい現実です。

 

もちろん、私はドナーを経験したのでその大変さはよく分かります。

 

自分のみならず、家族も心が疲弊しますし、仕事をもつ方はその調整も大変な事でしょう。

 

ですが、移植を待つ患者さんは生きるか死ぬかの瀬戸際に立たされています。

移植だけが生きる希望の患者さんも大勢いらっしゃいます。

 

今後、もし骨髄バンクに登録しようと思っている方がいらっしゃったら、

ご自分の胸中、ご家族とよく考えていただきたいと強く思います。

 

■本当に提供する覚悟があるかどうか。

■命の危険がある患者さんが自分の骨髄を待っているのかもしれないということ。

 

命のリレーが、全ての患者さんに繋がりますように。

 

心から祈っています。

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※弟に移植された私の造血幹細胞の実際の写真です。